年初の予想通り、2020年はX JAPANとしての活動は皆無だった。コロナがあったとはいえ2018年に幕張メッセで行われた無観客ライブ以来、実に2年半近く活動がない。それに対してメンバーからは明確な説明もないし、今後の活動見込みもない。なぜなのか?
2020年の最後に今X JAPANが置かれている状況について考察してみたい。
X JAPANとはYOSHIKIのバンドで、すべての主導権をYOSHIKIが握っているように思える。しかし活動のカギを握っているのはいつだってボーカルのToshlなのである。YOSHIKIとほかの3人のメンバーが揃ってもX JAPANにならないが、ToshlとYOSHIKIの2人が音を奏でればX JAPANは成立する。契約の問題とか、タイミングが合わないとか、複雑な問題が複数あるとか、様々な理由をつけてX JAPANが活動できない理由を掻き立てるメディアはあるが、話はもっとシンプルで、要はToshlが「やろう」といえばX JAPANは動くし、Toshlが乗り気でなければX JAPANは動かない。97年の解散の引き金はToshlの脱退だったし、X JAPANが復活して長期的に活動できているのもToshlが洗脳から脱却できたからである。
SUGIZOやHEATHが「そろそろLIVEがしたい」「X JAPANも動き出しましょうよ」とYOSHIKIに言っても、今のYOSHIKIには頷くことしかできない。今後X JAPANとして活動できるかどうかはリーダーのYOSHIKIではなくToshlが握っている。ここ数年の活動停滞は「Toshl待ち」の状態が続いているためである。
ではなぜToshlはX JAPANを「やろう」と言わないのか。その原因を作ったのもまたYOSHIKIなのではないか。理由はあれど「RED SWAN」でHYDEをボーカルに起用したこと、海外フェス「Coachella 2018」でX JAPANとしての出演のはずがマリリン・マンソンに歌わせたこと、Toshlの「洗脳騒動」をネタにしすぎたこと、そしてNEWアルバムにToshl以外のボーカリストを参加させていること。(この件については過去のインタビューでYOSHIKIが「大物アーティストが参加している」といっているが、今の状況を考えるとNEWアルバムに参加させるのは「白紙にした」可能性が高い。)
Toshlからすれば、YOSHIKIが何を考えているのかよくわからないだろう。すべてはXのためと言いつつ、ボーカリストとしての自分を軽視しているように思えてしまう。もっとYOSHIKIは早いタイミングでToshlと今後のX JAPANの活動について、しっかりと話し合いをするべきではなかったか。
一方でここ数年のToshlは、もはやX JAPANのボーカリストとしての後ろ盾が必要なくなっている。ソロ名義である「龍玄とし」としての活動は大きな成功を収め、龍玄としのファンの中には、X JAPANのToshlを知らない人もたくさんいる。XのToshlではなく、ソロのToshlを見たいというファンが増えれば増えるほど、そしてそれが話題になればなるほど、X JAPANとして活動することはToshlにとっては、もはやマイナスなのである。
「まだ世界進出も道半ばだし、アルバムだって出してない。」X JAPAN側から見たらそういう声もあるだろうが、Toshlはいまさら世界進出にも興味がないし、アルバムだって歌撮りはすべて終わっているので、これ以上自分がX JAPANに関わる理由がない。龍玄としの活動のほうが楽しいし、今のToshlを受け入れてくれるファンがたくさんいる。2007年に復活した当時はまだToshlは洗脳状態で「カネのために復活を命じられた」と自著の中で語っているが、今は金銭面で困っているわけでもない。だからビジネスとして割り切ってX JAPANを続ける必要もない。そして何よりもYOSHIKIの真意がよくわからない。
アルバムさえ出れば潮目が変わるという人もいるかもしれないが、今アルバムが出せない理由は大きく2つあると考えられる。
①海外ではロックは既に「終わった」ジャンルであり、今X JAPANがアルバムを出しても、実力関係なく世界進出は失敗に終わる可能性が高い。だからこそYOSHIKIは、NEWアルバムの中で大物アーティストとコラボしたり、海外でも人気のアニメ「進撃の巨人」の主題歌を引き受けたり、マリリン・マンソンと共演したり、ハリウッド映画の音楽プロデューサーを引き受けたりと、とにかくX JAPANとして話題性を作ろうと考えた。しかしそのほとんどはX JAPAN名義ではなくYOSHIKI名義になってしまった。
②皮肉なことに上記のように海外進出の戦略を突き詰めれば詰めるほど、Toshlとの距離は離れていった。今アルバムを出してもToshlが「やろう」といわない限り、X JAPANとして活動することができない。アルバムを出してもXJAPANが活動しなければ、それこそ世間に「X JAPANの終わり」を印象付けることになりかねない。
X JAPANの再結成のシンボルであり、世界進出のために作ったアルバムだったはずなのに、いまや「何のために作ったアルバムなのかわからなくなっている」というのが本音だろう。普通のアーティストであれば金銭面や契約面で「アルバムを出さざる得ない」状況もあるだろうが、YOSHIKIもソロで十分すぎるほど成功しているし、X JAPANはレコード会社に所属してない。無理にアルバムを出す理由は一つもないのである。
考えれば考えるほど絶望的になる。X JAPANが次のステージに進むためにはどうしたらいいのか。今年筆者はずっと「今後もX JAPANが活動する理由」を考え続けた。考え抜いた結果、それは「ファンの切実なる声」しかないのではないかと思う。
どんな状況であってもファンはX JAPANを信じている。八方塞りの中、そこにしか光がないとYOSHIKIも知っている。だからこそYOSHIKIは今年の紅白で敢えてソロで「ENDLESS RAIN」を披露することに決めたのではないか。ファンの間では「なぜX JAPANで出演しないのか?」という声が不満の爆発した。こうなることはYOSHIKIは予想できたはずだ。「X JAPANの活動を待ち望んでいる」ことをYOSHIKIはファンを通じて伝えたかったのではないか。誰に?言うまでもないだろう。
そんな回りくどいことしなくても、素直に言えばいいのにと思うかもしれないが、二人の関係は直接会話ができなほどに冷え切っているのではないか。とにかくX JAPANが活動するための理由がほしい。世界進出もNEWアルバムも活動理由にならない今、ファンが声を挙げるしかない。せめて「ファンのために」YOSHIKIとToshl、二人がステージに立ってほしい。
今年の紅白は様々なアーティストと一緒にENDLESS RAINを歌うそうだ。私たちファンも一緒に歌おう。その声が届くことを祈って。。
コメント
筆者さんのバンドに対する愛を感じました。
しかし、『Toshlが乗り気でなければX JAPANは動かない』
は間違いだと思います。
事実として、2018年のルナフェス、Toshlは「出ると(XJAPANマネジメントに)伝えていた」と言っていました。
ふたを開けてみれば、ルナフェスはYOSHIKI単独出演でした。
Toshlがやる気でもXJAPANは動かない。Toshlの意向は反映されないのですよ。
HEATHだって同じ。YOSHIKIチャンネルで、HEATH「コンサートやりたい」と言っていましたが、意見は通らない。
全てYOSHIKIが決めているんではないでしょうか
X JAPANはYOSHIKIの独裁バンドです(根拠はあります)。
たとえToshlがやろうと言っても動きません。
麻布十番さんと同意見です。
根拠がない「アルバムを出せないのもライブをしないのもToshlのせいだ」というこの記事の主旨は、Xmediaさんの思い込み、或いはYOSHIKI擁護の感情による記事と受け取れます。
余り知識のない人がこの記事を読めば誤解を生むでしょう。
残念です。
「X JAPANって聞くだけで体中に蕁麻疹が出てくる」
「X JAPANに関しても自分でやりたいなって思う時にやろうかな」
「アルバムは自分が出したい時出す!」
2020年1月3日のこれらのYOSHIKI発言はXmediaさんも把握されていますよね?
民主的なバンドに所属するSUGIZOも、X JAPANは独裁的と発言しています。
幼馴染であり結成当初からの朋友Toshlでさえも、YOSHIKIの決定に従うのみです。
例えばRed SwanでYOSHIKIがHYDEをヴォーカルにした際も、Toshlは
「X JAPANの事はYOSHIKIが決めることなので」
と言い、歌いたかった、不本意だ、という想いをたった一言「残念」と発信しました。
解散前も再結成後も、どう見ても、Toshlの意思などX JAPANの活動に取り入れられているとは思えません。
Red SwanでToshlがYOSHIKIの嘘や不誠実に絶望し、それ以降徐々にYOSHIKIを見放しソロで活動しようという決意に至ったと思われますが、この記事のように「Toshlのせいだ」というファンの声がはびこるならば、Toshlをますます追い込むことになり、結果的にX JAPANには一利もありません。
YOSHIKIがアルバムを出せないのは、セールス記録という誤魔化しようがない評価を突き尽きられるのを恐れているからです。
勿論YOSHIKIが明言した訳ではありませんが、蕁麻疹発言を取り上げたメディアでも、関連ニュースのコメントでも、ファンを含む多くの人はそう思っていますし、それが常識的解釈でしょう。
13年間続けられてきた出す出す詐欺を、Xmediaさんはどう解釈していらっしゃいますか?
少なくともここにはToshlの意思など一片もありません。むしろToshlは早くアルバムを出して欲しいと思っていたのです。
出す出す詐欺を1つ1つ見てくれば、アルバムを出せなかったのは、YOSHIKIが自身の「大物」というイメージを損なうのが怖いのだとの解釈が妥当でしょう。
活動が無いのは、アルバムも出さないのにライブをしても、YOSHIKI自身の名声に結びつかないから、意義を感じないのでしょう。14年目に突入したアルバム出す出す詐欺で、流石にファンも冷めてきているのを感じ、ライブも大きなハコを埋める自信がなくなっているのかもしれません。
「活動のカギを握っているのはいつだってボーカルのToshl」という根拠に、解散も再結成も、Toshlの去就が原因だからだと根拠をあげていらっしゃいますが、それは単に「Toshlが歌わなければX JAPANではない」と言っているだけであって、活動方針をToshlが決めているという根拠にはなっていません。
アルバムもライブもYOSHIKIに要望する事です。
YOSHIKIが考え方、生き方自体を変えなければ、アルバムは出せない気がします。
X JAPAN再開を願うファンとして、どうか記事の訂正をお願いします。
コメントありがとうございます。記事中ではToshlのせいでX JAPANが活動できないとは書いていません。この状況を生み出したのはYOSHIKI自身であると言っています。X JAPANのあらゆる事がYOSHIKIの独断で動いていることはその通りですが、だからと言って現状YOSHIKIが「やろう」といってもX JAPANが動かないのも事実です。理由がどうあれToshlがYOSHIKIと距離を置いていることは誰の目にも明らかです。この先X JAPANがどうなるか、それはToshlとの関係修復も含めて、YOSHIKI次第でしょう。二人が直接会話できない状況だとしたら(記事にも書きましたが)双方への批判やネガティブな意見ではなく、ファンが声を挙げるしかないということです。最後にアルバムについて。あくまで個人的な意見ですが、近い将来YOSHIKIからX JAPANのアルバム発売を中止するという発表があると予測します。その理由についてはまた別途記事にしたいと思います。