2017年時点のX JAPANのオリジナルアルバムはインディーズ時代を含めてたったの4枚しかありません。重要なのでもう一度言います。たったの4枚です。30年以上活動しているバンドとしては異例の少なさです。
※ミニアルバム「Art Of Life」は除く
アルバムの枚数が少ないので、世に出ている楽曲の数も半端じゃなく少ないです。復活後を含めても、世に出た楽曲は50曲程度。そのうちシングルカットされた楽曲は23曲もあるので、多くの楽曲がX JAPANにとっては、シングルレベルの代表曲といえるのです。
一方でオリジナルアルバムの少なさを補完するように、ベストアルバム、企画アルバムは数え切れないほど発売されています。オリジナル楽曲は50曲程度しかないわけで、同じ楽曲を何度も使い回すことは常套手段。それもライブアルバムならば、
「イントロだけでいつの時代のRusty Nailか分かる」とか、
「YOSHIKIのDrum破壊音源のところは目を閉じて破壊シーンを思い浮かべる」とか、
「93年のSadistic Desireのhideの奇声?は一度は真似する」とか、
マニアックな話題で盛り上がれるので、ベストアルバム乱発でも、それなりにコアファンは楽しめるのです。
よく「ベストアルバムを乱発しすぎ」と批判されがちですが、X JAPANにとっては50曲すべてが代表曲といえるので、どこを切り取ってもベストアルバムになるのです。ライブでの演奏クオリティも高いので、スタジオ音源とライブ音源が混じった(普通に考えたら有り得ない)ベストアルバムでも何の違和感なく聞けるのは、X JAPANぐらいでしょう。
とはいえ、リリース情報が出る度に「またベストアルバムか・・」と落胆しながら、ついついCDを購入していた昔からのファンならまだしも、当時のX JAPANを知らなかったファン達は、
「復活して10年経つのにまだNewアルバムが出ていないだと!?じゃあ一体何から聞けばいいの?」
と戸惑ってしまうことも、多々あると推察できます。
そういった新規ファンには、メジャーデビュー後に発売された3枚のオリジナルアルバムを聴くことは最低限の通過儀礼だとして、問題はその後です。「X JAPANのオリジナルアルバムは全部聴いたよ。じゃあ4枚目以降のアルバムは何を聴けばよいの?」ということです。
前置きが長くなりましたが、そんな迷えるファン達にX JAPANのあらゆるアルバムを買い漁ってきた筆者がお勧めする、オリジナルアルバムに次ぐ「4枚目の名盤」をご紹介します。(逆にお勧めしないアルバムも紹介。)
※インディーズ時代に発売された「Vanishing Vision」は音質が良いとは言えずあまりお勧めできません。インディーズ時代の代表曲も漏れなく聞きたいという方は、下記に紹介したアルバムでほぼカバーできます。
※3枚のオリジナルアルバム=「BLUE BLOOD」「Jealousy」「DAHLIA」。このうち「DAHLIA」は現時点でX JAPAN名義唯一のオリジナルアルバム。「DAHLIA」は再販期間が過ぎており新品は入手しづらいですが、以下に紹介したアルバムでほぼ収録曲はカバーできます。
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2017年現在、確実に入手出来て、しかもリマスタリングされ、ライブ版も収録され、復活後に発表された「La Venus (Acoustic Version)」も聴けてしまう!!-過去のX JAPANと現在進行形のX JAPAN-その両方に触れることができる本アルバムは、現時点で4枚目に聴くアルバムに最も相応しいと思います。
「いやいや4枚目はArt Of Lifeでしょ。」との声が聞こえてきそうですが、安心してください。このアルバムには「Art Of Life」の短尺版が収録されています。初心者ファンにいきなり15分に及ぶYOSHIKIのピアノソロを聴かせるのは、刺激が強すぎるってもんです。このアルバムで「Art Of Life」っていい曲だなと思ったら、1993年に発売されたオリジナルの「Art Of Life」を聴いてみてください。
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1999年に発売され現在は入手が難しいのですが、もし見つけたら絶対即買いです。ポイントはインディーズ時代の楽曲がライブ音源でリマスタリングされていること。特に1988年に演奏された「Stab Me In The Back」は本作でしか聴くことができません。それ以外にも全編英語詩の「KURENAI」「オルガスム」の貴重なライブバージョン、そしてオリジナルアルバム未収録の「THE LAST SONG」をスタジオ音源で聴くことができます。
原盤権の問題で「Silent Jealousy」が入っていないため、アルバムタイトルである「PERFECT BEST」とは言い難いですが、インディーズ時代の荒々しいXを感じるには最適な一枚です。なお、本アルバムの3枚目には「X JAPANの解散~hideの死」を経験した当時のYOSHIKIの悲痛な思いがVOICE収録されています。
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「X JAPANの激しい曲よりもバラードが好き」そういうファン、意外とたくさんいらっしゃいます。そんなX JAPANの美しいバラードを愛するファンに向けた至高の名盤が「BALLAD COLLECTION」です。解散直後の1998年3月に発売された本作は、全曲YOSHIKIによるリマスタリングが施されており、X JAPAN改名後のライブでは滅多に演奏されなくなった、インディーズ時代の名曲「Alive」「Unfinished」をクリアなスタジオ音源で聴くことができます。
一部のコアファンからは「Voiceless Screamingが入ってない!」とダメ出しされがちな本作ですが、4枚目に聴くアルバムとして自信を持ってお勧めできる1枚です。そして本作は、あなたが男性なのであれば「X JAPANのファンになってほしい女の子に貸す最初の1枚」にも最適です。
以上、3枚のオリジナルアルバムに加えて、上記のアルバムを聴けば、ほぼX~X JAPAN解散前の代表曲にどっぷり漬かる事ができます。そして、ここまで聴いたあなたは、もうX JAPANの大大大ファンになっているはずです。そしてもっとX JAPANを知りたくてウズウズしているのではないでしょうか?
ここからは番外編として、普通のアルバムでは飽き足らない方向けに「5枚目以降に聴いてほしいアルバム」をざっくりご紹介します。
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いわゆる「海賊版CDっぽい感じを、公式サイドがやってみた」という謎のテーマ性を持ったアルバムです。BOOTLEGとあるように、逢えて音質を落として「誰かが会場から隠し録りした。」ような臨場感に溢れる仕上がりになっています。東京ドーム公演以外で、X JAPANの(ほぼ)ライブ全編が音源化されているのは本作しかありません、クリアな音源は擦り切れるほど聴いた方には、とても新鮮に感じることができるアルバムです。
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本作は1997年の解散直前にリリースされたライブアルバムですが、「Extra」と銘打ってあるとおり、本作は東京ドームで披露された各メンバーのソロコーナーの楽曲中心に収録した異色のアルバムです。但しTOSHIのソロコーナーは収録されていません。聴き所はX JAPANライブ用にアレンジされたhideのソロ曲「POSE」ですね。とてもカッコいいです!
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「X JAPANとトランスの融合」というコンセプトで2002年に発売されました。発表当時は「意外とアリかも!」と思い、それなりに期待をしていたのですが、もうね・・これはないですわ。ガッカリを通り越して、怒りすら覚えました。「X JAPANの楽曲をトランス風にした」と安易に考えると痛い目に遭います。一度だけ聴いてそっ閉じしました。「どんなX JAPANの楽曲も愛せる!」という強者だけが手にすべきアルバムです。
※公式に発売されたアルバムですが、YOSHIKIはプロデュースという形で関与しているだけです。
もちろんこれ以外にも、X JAPANのベスト的なアルバムは数多く存在します。すべてが代表曲であるがゆえに、どのアルバムも完全なベストになりえないのは、X JAPANの楽曲完成度の高さゆえのジレンマと言えるでしょう。これを機に、あなただけの「4枚目」。そしてあなただけの「ベストアルバム」を見つけてみては如何でしょうか?
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