X JAPANはインディーズでもメジャーでもないバンド!?

日本の音楽シーンにおいて、インディーズとメジャーを区別して語られることがよくあります。そもそも何が違うの?と思う方もいるかもしれませんが、その違いはアーティストが所属しているレコード会社が、日本音楽協会に所属しているか否かです。

メジャーの中でも大手レコード会社と呼ばれるのは、ユニバーサルミュージック、ソニー・ミュージックエンタテインメント、ワーナー・ミュージック・グループ、EMI・・などが該当します。音楽に詳しくない方でも一度は聞いたことがある名前ですよね。

このような大手レコード会社に所属できれば、アーティストはあらゆるマーケティング活動をレコード会社にサポートしてもらうことができます。TVCMの放映、TV出演、楽曲タイアップ、雑誌取材はもちろん、全国のCDショップへの流通力も強いといわれています。

またコンサートなどを行う際の、運営や会場の選定、スポンサー企業集めなども、大手レコード会社だからこそ、スムーズに進むことが数多くあるのも事実でしょう。
例えばどんなに人気があっても、東京ドームなどの大きな会場をインディーズバンドがブッキングすることはほぼ不可能です。

逆にインディーズのメリットとしては、CDなどが売れたときのアーティスト側の収益性が高いこと、レコード会社の意向を気にすることなく、自分たちのペースで音楽活動ができることなどが挙げられます。最近ではメジャーとインディーズの差が、どんどんなくなってきていますので、敢えてインディーズのまま活動するアーティストも増えてきています。

さて前置きが長くなりましたが、そろそろ本題です。

今のX JAPANはどっちなの?と聞かれたら、

「復活前はメジャーバンド、復活後は日本国内においてはインディーズでもメジャーでもないバンド」と答えるのが正解です

「えっどういうこと?」と思われるかもしれませんが、少し整理してみましょう。

1989年にX JAPAN(当時はX)はSONY(現SME)からメジャーデビューをしています。
それまではYOSHIKIの自主レーベルであるExtasy Recordに所属していますので、インディーズバンドという扱いになります。

当時、既に圧倒的な人気を誇っていたXは、インディーズでも十分活動して行けるほど実力を持っていたため、様々なリスクを負ってまでメジャーに行くか、インディーズのまま活動を続けるか、メンバーの中には様々な意見があったといいます。ただ結果的にはYOSHIKIはメジャーデビューを選択します。

その後、1992年にSONYとの契約が切れると、バンド名をX JAPAN(当時はX from JAPANだった・・)に改名し、世界進出のためにアメリカのタイム・ワーナーと契約し、日本では当時タイム・ワーナーの傘下にあった、ワーナーミュージック・ジャパンに所属することになります。

以後、1997年の解散まで数社のレコード会社に移籍しながらも、X JAPANは一貫してメジャーレーベルに所属していました。ただ解散までの数年間は、世界デビューアルバムの発売を断念、レコーディングの長期化による新曲リリースの遅延、さらにメンバーのソロ活動も重なり、X JAPANとしての活動停滞は誰の目から見ても明らかでした。

結果、レコード会社との契約枚数を消化するため、過去作品を集めたベストアルバムやライブアルバムを乱発せざるを得ない状況になり、YOSHIKIにとってはメジャーに所属している弊害も同時に味わった時期でもあったのです。

10年後の2007年にX JAPANは奇跡の復活を果たしましたが、2007年~現在までX JAPANは日本国内のメジャーレコード会社には所属していません。かといって。インディーズにも所属していません。

つまり、X JAPANは「どこのレコード会社にも所属していない ただのバンド」という言い方が一番正しいのです。誤解を恐れずに言えば、日本の音楽シーンにおいてはアマチュアバンドと同じ状態なのです。

「でも新曲出してるじゃん!」と思われるかもしれませんが、復活後の新曲はすべて「itunes」経由で発表しています。例えば「I.V.」はYOSHIKIの設立したExtasy Recordsが発売元となっており、これはアマチュアバンドが自分たちの楽曲を「itunes」で発売したと意味合い的には同じです。

X JAPANが復活後、一枚もCDを出していない理由の一つが、ここにあるのではないかと思います。つまりどのレコード会社にも所属していないX JAPANは、CDを流通させる手段がないのです。逆に言うと、この状況が続く限りX JAPANの新曲は永久にデジタル音源でしか聴くことはできないはずです。

さらに蛇足ですが、2016年3月11日にアルバム発売が予定されています。このアルバムをCDで出す場合は、少なくとも日本国内においては、どこかのメジャーレコード会社とCDの流通契約を締結する必要があるはずです。契約先がどこになるかも、X JAPANファンとしてはとても気になるところです。

インディーズでもメジャーでもアマチュアでもないバンド「X JAPAN」。そう考えると「X JAPAN」とは何なのでしょうか?YOSHIKIはよく「世界中にファンがいてくれるから、いまのX JAPANがある。」と言います。これはリップサービスでもなんでもなく、本当にX JAPANの場合、ファンがいないと成り立たないバンドなのです。

ファンがいるから、TV出演のオファーが来る、ライブができる、楽曲が出せる、スポンサーがつく・・・誰に頼らなくても、どこに属さなくても、「X JAPAN」は「X JAPANのファン」によってメジャーアーティストと同じ活動が出来る世界で唯一のバンドといえるのではないでしょうか?

この時代において、「X JAPAN」という存在そのものが「奇跡」と呼ぶにふさわしいのです。

ここまで読んで頂くと、新たな疑問が湧いてくると思います。「復活後、東京ドームでライブが出来たのはなぜ?」、「各メンバーはどこに所属してるの?」、「ライブの運営は誰がやっているの?」などなど、いくら熱狂的なファンがいるからといって、なぜ現実的にメジャーアーティストと同等の活動が出来るのか?
それはまた次回お話します。

*ちなみに、日本国外においては、X JAPANはWilliam Morris Endeavor Entertainmentとアーティスト契約を締結しており、国外のライブの運営や活動は、William Morris Endeavor Entertainmentがマネジメントしていると考えられます。
また2011年には北米における製造・流通を目的としてEMIと3年間の専属契約を結んでいますが、現在も契約が続いているかは不明です。

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